2011-01-01から1年間の記事一覧

波はゆらめく4

Mehldau の美しさはときどき 「こんなやり方しかなかったのか?」という ような無残な感じと 表裏一体な気がします。 元歌を 解体して 展開して 頂点で崩れ落ちたあと 静かに暮れる。 圧倒的な上手さで弾ききってしまう われてくだけてさけてちるかも ピアノ…

波はゆらめく2

読むこと が 見て そのあとに その譜面を弦で鳴らして その音を聴くような たまに なにもしないうちに 共振するように鳴らされてしまうことに 驚くような 経験だとしたら 書くことも 表現以前に それは やはり 自分の内側から 外部へ流れる 音楽のような流路…

波はゆらめく3

・・・・・あすこがほんたうの天上なんだ。あっ、あすこにゐるのはぼくのお母さんだよ 娘が「クソさみしい話」という『銀河鉄道の夜』 だれがさみしいの? とたずねると わからない 見てるこっちが とこたえる これは童話としてとても成功しているお話なのだろう…

横切る

境界に目をふせたなら荒らされぬ道をたどって帰っておいで

波はゆらめく

Brad Mehldau / Live in Tokyo 2004 「できることは、残ったかけらから音楽を作ること、その壊れ方をうたうこと」 元歌 Nick Drake 前に挙げた Hersch が Mehldau の先生でした。

記憶について2

子どもの頃は母の活ける花が怖かった。 時間が経つと開いたり傾いたりして普通の花になったけれど。 この記憶は今は、半分くらい嘘だったのかも知れないと思っています。

記憶について

二番目の歌らしきものを作るとき、「母こそとはの娼婦なる」ということばの 記憶がどこかにありました。(寺山かしらと思っていました。) 先程、気になって検索したところ 金木犀 母こそとはの娼婦なるその脚まひるたらひに浸し 塚本邦雄『水銀伝説』(1961…

秋のよう

破片はここ光はそこに交差する新しい硝子と古い硝子と 箱庭は涼しき水のたたえられたまきはる娼婦の内なるソーニャ ........................................................

Going to see the river man

月の見える稜線をたどれば 最短距離で狂気に行きついて 分散する波の音になれば 果てしない消耗に行きつくような場所があって その人は川沿いの高い葦の中を歩いている 夜から暁までの色を持っていて それなのにその音階で 遠い夕方の空を奏でたりする その…

霊園

向日葵と手折る人との影を過ぎ日は箱庭を隈なくめぐる ......................................................................... 日曜日に霊園に行って 頭痛を棲みつかせてもどってきました 今朝は誤って硝子を割った人がいて 私は速やかに硝子屋さんを…

4分間

Vier Minuten(邦題「4分間のピアニスト」)のラストシーンなので未見の方は注意 ↓ ↓ 60年間すべてを封印して、クラシック以外絶対に認めず、お酒も飲まない 80才のピアノ教師トラウデ・クリューガーがワインを2杯あおって 3杯目を持って戻るシーンがとて…

夜に溶けるひとことあまた溶けてなお問うひとこととあかつきにいて

ときどき雷雨

半世紀後にはいない私がかなしみをかなしむことのできたとまり木 日常(⊇夢)を奪われたならそのことを怒らないと と子を産む性に 地上出口は夕立の中 5分ほど溺れさせたのちに着きます

忌(悲)の日

残骸の淵のふかみに沈みたるあやまちよりもうつくしき丘

合唱

娘の通う中学校には、部活動のほかに有志の合唱団というものがあ って、伴奏がしたくて入団したけれど、今や歌う方が好きになって いるらしい娘はアルトのパートをしています。 今まで一度も聴いたことはなかったのですが、聴きに来てほしい というので、昨…

そっと

さみしさに羽撃かぬよう水をきり立てゆく皿のおもての白さ

Songs Without Words2

ピアノという楽器は 不自由な楽器です。 そうしようと思えばそれだけで完結してしまう孤独な楽器でもあります。 そしてjazzというのは、私が聴き始めた頃には既に懐メロでした。 Fred Herschというのは不思議なピアニストです。 最初に聴いたのはHorizonsで…

夜の裾を踏めば草の香遠い日に回転扉をくぐった記憶

Songs Without Words

Tango "Songs Without Words" (2001) Nonesuch この人のピアノを好きになる人はただ好きというのではなくて、大好きになって しまうだろうな というピアニストがいます。 ある音の流れが聴こえているときは ある流れは聴こえていない 今 を立てたときに その…

上空は

仕事帰りに娘を新幹線に乗せました。表示板の小倉を「おぐら」と読む中学生に 「大丈夫?しっかりしてね。寝過ごさないこと。」などと言いましたが、帰りの 乗車券を「これを失くしたら大変」と何度も確認しては仕舞いこんでいる娘は乗 り込むまで上の空でし…

台風

風雨は瞼を逸れて夏草に残されている窪みの静か

揺らすと音がする昨日

Richie Beirach Sunday Song 1992 "Themes and Impromptu Variations. " EAU 台風の進路は気になりますが 日曜日 のような 月曜日

空を聴くようになる

稲村 ことばには、派手すぎる躓き方をした記憶が付きまとっています。 父が死んだとき、どうして今なら 日記なら 虚空に流すようにしてなら書けると 思ったのかとても不思議。 dal segno senza fine これだけやっても暮れのこるものは、もうおしまいまで持っ…

梅雨明け

未明のみずたまりをながめる 一つだけの街灯に 一晩 羽のあるものたちが舞い終わり ここに いくつかの命が結晶する (はずはないのに) 陶器のような貝殻のようなものが ゆるやかに分割しながら 流れる雲にまじって 揺れているのを ながめていると そこだけ…

明け方に

夢を見ました 街灯のない夜のどこかで 男の子(幼い頃の息子の友だち?)を家まで送っていく という夢 こっちの方角でいいの? と尋ねると どこからでも帰れる と小さな胸を張る そんな筈はないでしょう? ここは私がつくった地図なのだから 声明や数唱の流…

Blanca 

夕立 開きぐせの頁を雨に打たせれば あふるるまでの余白の水位 白昼 枇杷ひとつ転がりきたるよもつ坂白き無を抱く鶏は目を上ぐ 遠雷 闇になほしろき光のひらかるるせつなはつねに無音のひかり 蚕/貝 白絹や真珠のひかり密にしてくぐもるものの残骸の内 眠ル…

つぶやき的4

歩道橋の上から 白い光の中 青い落ち葉と黒い枇杷の木のたわわさなどを眺めていると 耳元で羽音がたって またたく間に遠ざかっていく。広げられたもう一枚の空はいつも眼下にある。 雨の降るいつかの夜は 容という文字について考えていた。漏刻という水時計…

つぶやき的3

ベンガル湾に浮かぶインド領アンダマン諸島で、先住民が話していた二つの言語の最後の話者が相次いで亡くなり、両言語が絶滅した。(中略)2人は話し友達で、ともに2004年のインド洋津波で被災した。昨年11月にボロさんが亡くなると、ボアさんの衰えが…

ときどき冠水するレール

どこかの川沿いの夕暮れでした いいえ 教会の裏の折れ曲がった狭い道でした 薄暗い建物の染み つゆ草が雨に濡れていました どこかに行きたいと願った場所から ここがどこであるかを知る地点までが旅なら わたしに鍵をかけるのは いつもわたしのことばなので …

破線をたどる

弱い雨雲が追ってきていて 帰り道はいくつも川を見逃した 戻ってきたのは一瞬違う街のような気がしたけれど すぐにここはそういう場所だと思いなおした 動物病院の植え込みのサツキだけがいつもずっと花をつけています まとわりつく犬も 「話したいことがい…