Blanca 


             夕立                               

開きぐせの頁を雨に打たせれば あふるるまでの余白の水位




             白昼

枇杷ひとつ転がりきたるよもつ坂白き無を抱く鶏は目を上ぐ




             遠雷

闇になほしろき光のひらかるるせつなはつねに無音のひかり




             蚕/貝

白絹や真珠のひかり密にしてくぐもるものの残骸の内




             眠ル

影踏みで空まで蝶を追う螺旋聳えれば白鍵より崩れる




             

夜の錘り浮上するたびすれ違うあさき部分を流れる数唱




             

                   韻律は狭間を隠す