2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

さらさらと細かい雨が木々に落ちていく先で 記憶の風景が層を成している ではこの道は? 霧のような雨の小道を通って 秋まで歩いていった 自分の後姿を見たことがある そんな筈はない記憶をいくつも重ねています その動詞は余白のなかからやってくる 必要で…

遠景

インフレをおこしたものたちは読み過ごされるように過ぎて 最後に小さく点滅していたものが終わる

箱に入った桃を、ひとり一日一個のノルマで食べ続け、 毎朝桃でお腹を一杯にしています。 江國香織みたいに、私の身体は良いもので出来ている と 自己愛全開で言ってみたい気もするけれど、 果物を与えられて育った、フルーツポークとかいう豚が 頭をよぎる…

記憶以外は揮発していく白昼に蝉の木陰を経てたどり着く (見つからないことの方が多い)

蝉の声が作った木のかたちから出て 次の木のかたちまで 舗道は白い光に車の振動と微かな埃と遠くの校庭か ら響く野球の音がまざる 夏が立ち止まるときがあった 釘のようなことばがあってそこに記憶がひっかかっている .....................................…

自然のリズムを聴き分ける耳と 声帯を震わせて高低差のある音を出す喉を持っていて その音が声になってその他の音と別れた時が はじまりなのかな。 わたしの声でことばを覚えたこどもがふたり いるという ことを 不思議に思います。 たまたまそばにいただけ…

夜の虹

音楽は常に調性の支配下にあるけれど それに身を委ねているうちに 認識の外に連れ出されて ここはどこだろう と呆然とすることがあります 小石が流れに沈んだような 何からも切り離された静かな暗黒で、音ははるか上を 流れていきます 陶酔ではないの 陶酔と…

お盆なので一本だけ百合を生けたらたくさんひらいて香りだし 窓から捨てたくなっています。過剰すぎて

Satie

渋谷で「エリック・サティとその時代展」 を見てきました。 さり気なくて素っ気無い。美学とは異なるほうに流れていく音たち。 サティは楽譜に詩のようなものを書きますが、楽譜に書かれたことば (語り というか人語と呼びたい気がします。)は音がそれをか…

匂いで虹のありかがわかる性癖を恥ずべきものとして持つひとがいる 虹の消えた空からかつて虹を見た空まで挟むながい間奏

彼女は彼と花火を見に行く

彼女もいつかだれかの帯を結んでやりながら思い出したりするのかな。 「火は白い雨みたいだった。」

心の中にすこしだけ外気より低い温度のプリズムの集積場があって、そこを通して見ることでしか自分を統合することすらできない なぜ少し温度が低いかというと、私がその鏡に似た欠片たちに冷淡であるから 欠片同士が温度を打ち消し合います。 H市にきていま…

八月の午後

] 夏休み最後の一日はやっと夏の色を見て いまは駅で日が落ちるのを眺めています。

Goldberg

以前の転職の際、ある会社の人事の方と顔合わせをした喫茶店でこの曲が流れていたので すが、その方が「僕はグールドが好きで、職場でも聴くのですが、女の子達から蔭でレクター と呼ばれているらしいんですよ。」と急に言い出されて笑いがとまらなくなって…

最小限のことばで生きていた頃、私(達)は過ぎるものでした 遠い窓を斜めによぎる 一瞬の色だけを記憶して いまはもっとも非人間的なもの たとえば鏡 を 斜めに配置して だれひとりとして持っていないうつくしい問い を 湿度の低い日に見える遠い丘の稜線 …