2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

野分など

俎に並びて僅かな血を零すこの鯵二尾を夫婦となさむ 盲目鳥は闇夜の森におりきたる見えざる星と樹上に憩ふ まぼろしの野分と思ふ木枯らしに降りたる星など吹き払われれば 冬へと続く銀の鋼線撓むれば水滴を恨むあすの悲しみ 水滴のひとつひとつにわが罪をた…

鳥は2

空中に張りめぐらされた鋼線 羽の下の骨 亀裂のような青空しか こころに飼わない 伝染性の病のように 予感のさざなみが立って 直線的な離脱の意思が まず最初に虚空へ抜け出し 傷跡のように走る都心の水路を瞬時に遡り 冬に着水する 波紋を引いて つぎからつ…

窓 まで 満ちる

雨降ってきそうな空に 雲と雲ではないものを 閉じ込める 夢 はるか高くに 曖昧の水位があがって 新雪の中にいるように 私には私の音も聴こえない 人はソナーのように 反響によっても位置を確認しているというのは 多分本当にそうなのだろう 目を閉じると闇に…

ガラス越しの新宿

信濃町あたりの建物の高層階から御苑を挟んで西を望むと 新宿のビル群が海の向こうに現れた蜃気楼のように見えるときがあります。

その2

実際にこの街を歩いて感じるのは 無秩序や混沌よりシンプルな合理性や機能美こそグロテスクと紙一重 のようなこと。 小路の雑然と高層ビルの壁面。 新宿は好きです。

Piazzolla

Yo-Yo Ma (Cello) Nestor Marconi (Bandoneon) 気分を一分一秒でもはやく上げたい時のPiazzollaの一曲。 職場での脳内再生率が高いのですが、これでどうしようもなかったらウイスキーに なってしまいそうなのが難。*1 Nestor Marconi Trio en el festival de…

折り目をひらく

それは無理やり連れてこられたわけではなく ある方向性に従って 失効しない約束をした結果なので 溢れるもの流れるものによって何かが更新できると思うことも 砂山のように崩れたり 開ききった花のようバラバラに零れ落ちる和解も 私はすでにどこにもいない…

らんぶる・すくらんぶる

朝の部屋 ※ 目の端に見慣れない卵が立っていて 手に取ればそこだけぽっかり穴が開いている 覗くべきではない 蝶でも魚でもない私が 私に命じる ※ 自分を哀れむ涙でもいいから 泣いてみたくて 手に取った悲しみにすら 日常の死は紛れ込む おがくずに紛れた蟻…

遁走曲(fuga)

古い街に血を捨てに行く 別に春でなくてもいい 私が私を裏切って 明るい迷路で力尽きる 夢を見ている そう これは夢 実際は乾いた世界と濡れた世界が 下手な二重露光のように 交錯する場所を歩いている 魚はいつも溺れていたし 蝶はうろうろと地を這っている…

Everytime we say goodbye, I die a little.

果たし得ぬ絶望よりもこの銀のナイフは優し果てまで持たむ

みずたまり

「後悔してる?」 「いいえ」 「じゃあ後悔していないの?」 「いいえ」 「後悔ということを知ってる?」 「いいえ」 「後悔を知らなかったの?」 「いいえ」

無題

ことばを無くすと声にならずに沈んでいくものも無くなるのかしら?

テンスのもんだい3

故多遲摩毛理 遂到其國 採其木實 以縵八縵 矛八矛 將來之間 天皇既崩 爾多遲摩毛理 分縵四縵 矛四矛 獻于大后 以縵四縵。矛四矛 獻置天皇之御陵戸而 其木實 叫哭以白 常世國之 登岐士玖能迦玖能木實 持參上侍 遂叫哭死也 其登岐士玖能迦玖能木實者 是今橘者…

テンスのもんだい

この夏は怖いほど生産性のない生活を送ってしまいました。 何をしていたかというと何もしていません。 家族はリハビリと称して隣の街に出かけていってはアメリカ映画をレンタルして帰って きました。 パッケージとコピーを見ただけでつまらないかどうかが解…

テンスのもんだい2

何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある。 生まれる時、死ぬ時 植える時、植えたものを抜く時 殺す時、癒す時 破壊する時、建てる時 泣く時、笑う時 嘆く時、踊る時 石を放つ時、石を集める時 抱擁の時、抱擁を遠ざける時 求める時、…