2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏越

小さな八幡宮のせいか、ぐるぐる茅の輪をくぐるひとは見かけませんでした。 茅の輪の由来は、スサノオが旅の途中で宿を乞うたときに、裕福な弟の 巨旦将来は それを断ったのに対し、兄の蘇民将来は貧しいながらもてなした。後に再訪したスサノオは 弟の嫁に…

クロノス(時間、χρόνος)スタシス(持続、στάσις)

聴覚でもおこる ということは、たとえば周波数の違う音、木々のざわめきの中 突然鳥の囀りが聴こえたら、その最初の一音はすこし長く響き、 SNSのタイムラインに好きな人のことばが現れたら、その最初のことばの響きも 少し時間を止めたりするのかしらね。 …

クロノスタシスは、サッカードと呼ばれる速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が、長く続いて見えるという錯覚である。 眼球がサッカード運動をするとき、時間の認識は僅かに後に伸びる。そして観察者の脳は、実際よりもわずかに長い間時計を見ていたと認…

ねむりのくさ

露草 ほたるぶくろ 刈られる前にもらってきました。 自分だけが持っていかなければならない記憶にみんな耐えている とは 思うけれど 眠っているものに語りかけてくれる人がいれば 眠りは遠ざけるものではなく、とても深い安らぎになるかもしれない と 思いま…

足を引き摺りながら仕事に行ったら出先で頭が痛くなってしまって 困り果てましたが、たまたまあった古い薬局で頭痛薬を買い、お水 を貰ってその場で飲んで事なきを得ました。 一緒に出かけた同僚に、「ごめんね。もうなおった。」と言ったら 「あの薬剤師さ…

思うこと 考えることは、その瞬間あらわれる建築的なもので、確信は尖塔の ようなものかな と思ってきましたが、ずっと地理のようなものを見ています。 動いていく、より自由なもの。 小島信夫の小説を読んだら他の小説がしばらく読めなくなる ときいていて …

どうしてこうも注意力散漫なのだろう と思うのですが、今日は帰り道、 歩道橋の最後の一段を踏み外しました。 直後はそれほど痛くはなかったのですが、家に帰って派手に擦りむいた所を見ると とても痛い気がしてきて犬に「痛いよう。」と言っては気遣わしげ…

今日は折角代休をとったのにあまり眠れませんでした。 不眠とは若い頃からずっと仲良しなのですが、仕事で早起きが続くと途端に眠りが 細切れになります。夏だから ということもあります。朝が近すぎる。 空中の庭にも虫が巣作りします。 妹と会って買い物を…

あじさい

アジサイの語源ははっきりしないが、最古の和歌集『万葉集』では「味狭藍」「安治佐為」、平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」の字をあてて書かれている[7]。もっとも有力とされているのは、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)…

聴こえるか聴こえないかの余韻のようなものを 地図のように聴いているうちに 雨の季節になっていました。降るたびに涼しい。 出張先のホテルに化粧水の瓶を忘れていったことに気がついて 着払いで送ってもらうよう電話をしたら、あっという間に届きました。 …

繁茂する夏草のあいだに黄色い花が揺れる どこまでも続く造成地と人工島を小さく波が洗うのを眺めたあと 香椎 という駅で乗り換えて 都市の内側に入り込んでいく 私の住む場所よりすこし日暮れが遅く 南から北へ川の通る 湾を抱き込むように広がる街に その…

まなざしを浅い水底にしばらくしずめると 遠い音も近くの音もゆるやかにまざりあって 都市は波打ち際のようになろうとするでしょう。

雨宿 り

雨音はしないけれど クスノキの下は 淡い樟脳の香りがします 細い枝、やわらかな葉が重なり合う樹木は 読んだことのない本に似ている まだ見たことのない都市にも似ている 固い結び目を解いて ゆるやかに追憶に結びなおしたら きこえてくるでしょうか 水音 …

McCoy Tyner `We will meet again` (Bill Evans A Tribute) 昔、レコードが擦り切れるくらい聴いた曲をネットで見つけました。 エヴァンスの追悼アルバムの為にこの曲を弾いたあと、 「これしか弾けない」というようなことを言ってマッコイは出て行った。 と…

道を逸れたら

本当は知っている 道を逸れたら それは 少しずつ揮発していくこと 銀塩写真が 少しずつ退色していくように 光によって (かかえていることを知らないものを 一生かけて知りながら 失っていくことが 自由であるとしても) 消さないため とどまるために できる…