2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

潮さい2

現実の海まで行けば朝も水もすぐ近くまで遠のいている すぐそこまで寄せるのに帰れない波を 貝がながめているようでした

潮さい

「海」ということば一つに流れ去る 遠のくために重ねた景色

夜明けに立ちあう

夜が夜の場所にあるところから あるきはじめて うち消してきた とおい音 奥の方にある音に いつのまにかとり巻かれて 夜をわたる 越えなくてもいい夜が ひとつくらいあってもいいと (奥行きのない夜のふちです) 明け方に立ちすくむ人 あれは 空を見ている…

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森の石

薄底の靴をはいてでかけると 足裏に小石のかたちが触れてくる 夏日が真上から射して ここは以前は川底だったかしら? 流れた時間の痕跡 のような 触れれば痛い ちいさなかたち 帰って靴をぬいで それから 森のことを考える もうずいぶんながく行っていない …

記したものと 記す手前で閉じたもの かすかにささのはのさきに触れ合う

橋上の透明傘

雨はときおり落ちたけれど 雲は走っていた 七月に傘をひらく 七月に傘をひらくと 六月の傘のかげに 大半をあずけてきたことがわかる