夜明けに立ちあう



夜が夜の場所にあるところから
あるきはじめて



うち消してきた とおい音 
奥の方にある音に
いつのまにかとり巻かれて



夜をわたる



越えなくてもいい夜が
ひとつくらいあってもいいと



       (奥行きのない夜のふちです)





明け方に立ちすくむ人
あれは 空を見ているのではないのです
さいごの鳴らない音の残像を
夢の名残のように
よびもどそうとしている




  すべての音を破壊しながら
  夜が明けるから



      (途上から紙箱の中におちる種子)