真夜中にふとこの家は漏水していると思うことがある。 漏水しているのは家だけではないと思うこともある。 漏水して何故いけないのかと思うことも。 最近やっと修理をしてくれる工房を見つけたとかで 夫は祖父の形見の時計を修理に出したらしい。 エテルナと…

３人で雨の中を歩いたことは何度もあるはずなのに 覚えている風景はとても遠い。 若かった母は泥が足に跳ねるのを振り向いては気にしていたような気がする。 小さかった妹はレインコートの釦を首元まできっちり止めて、傘を目深に差して 前を見ていたような…

川に向かっておりていく段丘のどこかにある寺院は、灰色の壁に囲まれている。 僧侶は「えにし」と言う。亡き人とのえにし、あなたとのえにし、 遠い世界とのえにし。 外は５月の光。亡き人はもうこの季節の光の粒子のようであって欲しいと思う。 私などとは…

百合が好きです。百合の花じゃなくて、百合という文字と語感とあの花の 開きかけの白い首の印象が私の中では凄く一致している気がして。 睡蓮という語感も好きなのだけど、花のイメージとちょっとずれてる。 世界のどこかに睡蓮という名の素晴らしい花がある…

折らばや折らむ そんな気持ち。 置きまどわせているものは何なんだか。 とても続くとは思えない日記