雨の記憶


3人で雨の中を歩いたことは何度もあるはずなのに
覚えている風景はとても遠い。
若かった母は泥が足に跳ねるのを振り向いては気にしていたような気がする。
小さかった妹はレインコートの釦を首元まできっちり止めて、傘を目深に差して
前を見ていたような気がする。





母と妹と薄暗い雨の中、築地本願寺
インド風の外観に妖怪趣味(と説明があった)の意匠、動物の後姿たくさん。
中に入ると広い空間。前方に阿弥陀如来像と聖徳太子像。
そして突然、パイプオルガンのバッハが背後から幾重にも折り重なってくる。
これって夢みたい。ここはいつもこんな感じなんだろうか?