2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

窪の夜

地下の店内は 酔いはぐれた人の気配に満ちる 漂う木屑のような 埃っぽいざわめきと 散らばった音階 つんざくものと 打ち沈むもの ブラックの中の オレンジ 生暖かい帳に覆われて それらいびつな運動のすべてが 実は世界の裏側でバランスをとられてしまってい…

花市

花市をひらきませんか荒地にてきらめく破片で手を切りながら

秋は誘惑する

考える必要の無い こわいことを考えて 一人で気分が悪くなっている馬鹿 というのは 私のことなのだけれど 気付けばここ数日 飼いならした石の横に 変な感傷や回想が 住み着いている この際なんでも疑ってみた方が いいような気がしてくる 木々は本当に 寒暖…

紅葉

地中深く錆びた刀を抱きこめばひと雨ごとに滲み出る赤

白日夢

不思議な夢をみた 廃墟があった 昔 私が通った場所 親しく話した人がいて その人の去った場所 まるで戦火にあったかのように屋根が落ち コンクリートの瓦礫だけが無残に残っていた場所 そこに池ができていた 睡蓮 丸い葉の重なり ひかりに滲んでいた 水のあ…

名札

胸元に刺しとめた窓誰しもが呼ばれる為の名を持つ不思議

星みる人

子どもの頃にやっていたテレビ番組では よく語り部が満天の星を見上げて 「この宇宙のどこかに生命体がいるかも知れない」って言って 終わるものがあったような気がするのだけれど 生命体って自ら光を発するような星には住めないだろうから あの人たちは 空…

あやなきこと

世上乱逆追討耳に満つといえどもこれを注せず。 紅旗征戎は吾が事にあらず(明月記) 後の権中納言、御子左家の成功者19才の日記。 嘘ですよね。こんなこと思っていた筈がない。 私の中で定家という人はどうも三島由紀夫と印象がかぶります。官僚的とかそう…

海に迷う

トランスパシフィック 方位(ほうい)とは、ある地点における水平面内の方向を、基準となる方向との関係で表した物。または、基準となる幾つかの方向に付けた名称(wiki) 平面上を分割する方法だと基準になるのは東西南北(4方位) 更にその間を分けると 北…

しんとしていた

鎌倉高校前駅ホームから電車を待つ数分間、134号に一台も車が通らなかった 思い出すと目の奥が痛い

来客

猫が狩った鳥を見せに来るように その人は世界の切れ端を見せに来てくれた とてもきれいだね あなたには美しいものを発見したいと願う理由があり あなたに美しさを発見してもらうのを待っていたとき 世界はあなたにほんの僅か身を寄せていたのだろう 雨の庭…