来客


猫が狩った鳥を見せに来るように
その人は世界の切れ端を見せに来てくれた


とてもきれいだね


あなたには美しいものを発見したいと願う理由があり
あなたに美しさを発見してもらうのを待っていたとき
世界はあなたにほんの僅か身を寄せていたのだろう



雨の庭に
おびただしい羽が散っている



あなたが世界を切り取るところが見たかった
それはもっときれいだったろう
その鳥はあなたを追い
あなたを通り越した鳥だったりする?



錯覚の方角に世界も自分も切り結んでいって
幸せという羽毛みたいな言葉でいつか
自分を包みこむ羽目になることもあると
あなたでも信じることはある?



痛覚がなくなるとと人はどうなるか知ってる?と
その人は笑顔で問い返してきた
雨は止んで今、そよ風が吹いている