2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

夜を追悼する

Keith Jarrett "La Scala" Part 1 ending -recorded in concert on February 13, 1995 at the Teatro alla Scala in Milano, Italy. ソロ・ピアノ、それも長いものは普段あまり聴かないのですが、 これはミラノ・スカラ座、約45分の完全即興の最後の8分半 垂…

囁きを汲みて滲みし「容」の字の余白の外の遠き雨音

ひだまりに指をひたせば身の内にさみしき譜あるをただ知るばかり

いるときにいないわたしのいないときはるかにいないわたしを揺らす

覆うべきもの

晴天の夜 ということばがないとしたら この空は何と言えばいい? ひとつの錠前に 無数の鍵 白すぎる光と 色のない音が 星のあいだを永遠に 行き来して 反響のあいまに 劣化した コンクリートや むきだしの鉄骨が 重力に囚われて やっと沈み込んでいるような …

見失うこと

Miles Davis and the Modern Jazz Giants / Miles Davis (tp) Milt Jackson (vib) Thelonious Monk (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (d) 得意なことは思いつかないけれど、苦手なことというのははっきりしすぎています。 法律というのは人間同士の調停のた…

鳥追いと

水門を守りし人の手前にてつたなきものにわれは賭けをり 薄きこころとなりせば水なき川に行き左岸を自分の場所とさだめる そむく時は喉を晒してそむくべきのがれし野に贄うずたかくなる 鳥追いとなりて分け入る夜の森は木々に満たされわれをへだてぬ 欠け継…

I'm seeing things.

......................................................................................遠近法 大切なものを落とした犬のように 流れの中に立っている ここでは 聴くことはできても聞くことは困難で 見ることより見えることの方がはるかに怖ろしい 光の…

Solitary Moon

白くちいさな貝のような半月が浮かんで これ以上暗くはなれなかった夜があります ここは骨でつくったとても 軽い小舟のようです 眩暈のように ゆるくまわりはじめる周囲 このまま漂流するものたちが 各所でばらばらに 知らない場所に還っていくのを しばらく…

木を流す夢

私はそれをそう名付けたら安心してしまいます .....................................................1 白茶けた草の間をゆく おおきな川があって その中流に 木を流す人がいる 腕くらいの太さの木が おびただしく浮かんで そこから川は ゆっくりと 漂うも…

待降節

光とはかぎりあるもの転がりしボールは半球を蔭にひたせり 罅ある硝子に斜めに入る冬の日の散らばる淡き翳のかなしさ 赤き実をついばむ鳥を窓に見しいつまでもこきざみにあたまをふりて 夜の底はぬけておりたり手をのべて祈ることの葉は集めざりしか われに…

Scarborough Fair

Jean Michel Pilc (p)Francois Moutin(b)Ari Hoenig(ds) ない歌詞が飛び回るスカボロー・フェアー。 何度も聴いているとこちらの方が正統な気がしてくるのが不思議です。 Jean Michel Pilcはパリ生まれ。元はロケット開発に携わっていた人で ピアノは独…

飲むために汲んだ水2

わたしにしか積めない積み木だと 思っていたものがあります それは確かにある意味そうだったのですが 積んでいくうちに かみさまは不在で 誓いのことばだけが いつもそこにある 不可能を礎にしてより不安定な方に積み木の塔を傾けてしまったのは 不在である…

飲むために汲んだ水3

不安というものが あるとするなら おしまいによって制御されていたものたちが 無限の意味を主張して 揺れています 私は私の不可能性から片手を離してしまったので もうどこにも行きません いけません ふりかかる厄介から可能性を守って このままやっていける…