Solitary Moon
白くちいさな貝のような半月が浮かんで
これ以上暗くはなれなかった夜があります
ここは骨でつくったとても
軽い小舟のようです
眩暈のように
ゆるくまわりはじめる周囲
このまま漂流するものたちが
各所でばらばらに
知らない場所に還っていくのを
しばらく見送りましょうか
見送ったあとは
遠さだけがやってきて
私の隣に腰を下ろし
一緒に空を眺めている
こころもとない欠片のような
月の夜です
すこし可笑しくてとてもさみしい
影の海です