2009-01-01から1年間の記事一覧

花市2

夜明けの再開発地の 今朝は撤去される瓦礫の山を あなたが意味もなく 訪れることはない 花市をひらきましょう と 誰が言ったのだろう? 蝶の屍骸が日の光に晒され 窓辺で見開く幾多の目のないうちに 萌え出てもあてのない 草花のささやき 一年後は美しいビル…

幻日

鉄条網視線を束ね燃やす道暗示来たりて猶往還す

日記

このブログをはじめるにあたって考えたことは2つあって 一つは 日記なのだから週2回くらいは書けなかろうが何だろうが一行でも書こう ということです。 適当な題がついていますが、一応これは日記です。 http://d.hatena.ne.jp/ta26385/20090522 日記だと思…

乗り物

祝祭は彼方を過ぎる観覧車降り立つ人は遠い目をして

I remember Brownie

KEITH JARRETT TRIO / STILL LIVE 1986 / Keith Jarrett Gary Peacock Jack DeJohnette この曲はトランペッター向きの曲だと思っていたけれど、このKeithのらしくないピアノもいいな と思いました。 とても有名なので誰もがどこかで耳にした曲だと思いますが…

重なる雨

厚い雲と雨を 透過する かすかな ひかり 有刺鉄線の 棘に とどまった 水滴が 遠くの野原を 逆さに うつしている それらは 景色を閉じ込めたまま ゆっくりと落下し 四散するけれど 漂う音すら閉じ込めた 雨脚が 自らのはじける音に 還元してしまう あとから …

母が手を振る

庭というものは 囲い込まれたものだ ここは牡丹が ここは芍薬が 初夏の華やかな重さを記憶して 眠っているところ 都忘れのあった横 もういない人が最後に見た 梅の根本には 秋明菊がばらけている 藤棚は壊されて駐車場になり 紫陽花は芽をつまれた 花の色の…

アイテム

きれいだけれどからっぽの お人形のようなあなた達の門出には 意味の無いものをあげる 子守唄を唄うことに疲れたひとを眠らせるような歌 百合の薫じはじめてから腐すまでの内側の闇となれあう時間 最初に名付けられた名でしか呼ばれることのなかった人形の …

秋から遠ざかる

一日 南風が吹いていた 夜には雨になるらしい なにもすることがなくなってしまったので 川を見に行く 夢の中でいつも 音も無く氾濫して足を濡らす 見えない小川を確認しに 実際の野川は草が刈られて 川面が見えていた 10メートルおきに鷺が 彫像のように立っ…

窪の夜

地下の店内は 酔いはぐれた人の気配に満ちる 漂う木屑のような 埃っぽいざわめきと 散らばった音階 つんざくものと 打ち沈むもの ブラックの中の オレンジ 生暖かい帳に覆われて それらいびつな運動のすべてが 実は世界の裏側でバランスをとられてしまってい…

花市

花市をひらきませんか荒地にてきらめく破片で手を切りながら

秋は誘惑する

考える必要の無い こわいことを考えて 一人で気分が悪くなっている馬鹿 というのは 私のことなのだけれど 気付けばここ数日 飼いならした石の横に 変な感傷や回想が 住み着いている この際なんでも疑ってみた方が いいような気がしてくる 木々は本当に 寒暖…

紅葉

地中深く錆びた刀を抱きこめばひと雨ごとに滲み出る赤

白日夢

不思議な夢をみた 廃墟があった 昔 私が通った場所 親しく話した人がいて その人の去った場所 まるで戦火にあったかのように屋根が落ち コンクリートの瓦礫だけが無残に残っていた場所 そこに池ができていた 睡蓮 丸い葉の重なり ひかりに滲んでいた 水のあ…

名札

胸元に刺しとめた窓誰しもが呼ばれる為の名を持つ不思議

星みる人

子どもの頃にやっていたテレビ番組では よく語り部が満天の星を見上げて 「この宇宙のどこかに生命体がいるかも知れない」って言って 終わるものがあったような気がするのだけれど 生命体って自ら光を発するような星には住めないだろうから あの人たちは 空…

あやなきこと

世上乱逆追討耳に満つといえどもこれを注せず。 紅旗征戎は吾が事にあらず(明月記) 後の権中納言、御子左家の成功者19才の日記。 嘘ですよね。こんなこと思っていた筈がない。 私の中で定家という人はどうも三島由紀夫と印象がかぶります。官僚的とかそう…

海に迷う

トランスパシフィック 方位(ほうい)とは、ある地点における水平面内の方向を、基準となる方向との関係で表した物。または、基準となる幾つかの方向に付けた名称(wiki) 平面上を分割する方法だと基準になるのは東西南北(4方位) 更にその間を分けると 北…

しんとしていた

鎌倉高校前駅ホームから電車を待つ数分間、134号に一台も車が通らなかった 思い出すと目の奥が痛い

来客

猫が狩った鳥を見せに来るように その人は世界の切れ端を見せに来てくれた とてもきれいだね あなたには美しいものを発見したいと願う理由があり あなたに美しさを発見してもらうのを待っていたとき 世界はあなたにほんの僅か身を寄せていたのだろう 雨の庭…

ゾラの「ナナ」3

娘が昨日から登校し、我家のインフル騒ぎとそれに関連したり関連しなかったあれやこれやも一応平常運転に戻りそうな気配です。 一応これは日記なので、戻るたびにだんだん平常が傾いでいっているような気がする…と書いておこう。忘れないように。 私はストレ…

ゾラの「ナナ」2

「世の中には面白いことを書く人がいるんだね。でもどうやって探したらいいんだろ?」 息子や娘を見ていると、いくらネットが発達しても自分が面白いと思うものをどう探したらいいかという問いはなくならないんじゃないかと思います。 私だって今でも密かに…

ゾラの「ナナ」1

中学に入って通学時間が長くなり、何の本を読んだらいいのだろうと思っていたところ、 まず父から薦められたのは 堀辰雄の「風立ちぬ」でした。 (以下、12才時の印象のままに書きます。相当間違っていると思います。) 何だかこの女性は「私」の文学的趣味…

好日

不安のない朝は 入り組んだ日常の壁をすりぬけ きょうも易々と 背景と和解する こんにちは こんにちは守衛さん 今ひとたびの9時間拘束 私に確実な時間を 今日もありがとう さようなら 守衛さん この明るいフロアは どこまで行っても海すらない 管理された島…

ふわひゃら

以前、女友達と話していて何故か声の印象の話題になったことがあります。 彼女が言うには私の声は「ふわふわひゃらひゃら」しているのだそうです。 がっかり。 思い当たることはあって私には妹がいますが彼女の話し方は確かに 「ふわふわひゃらひゃら」と言…

空を飛ぶもの

郊外の造成地を歩いている高圧線と鉄塔と鉄塔の一歩と次の一歩の回想と自分のことばとことばの間のなだらかな連続性病むと言うことはこれが失われるということだろうねと私は傍らの犬に言ってみたりしたけれど果たしてそうでしょうか水際の高い草の延長の空…

石は 2

(ギターを弾く娘に) スープに張った膜のような 月の光が静まれば 夜はどこからどこへ流れていくのだろう? 遠くの草原で 虫が鳴いてるね もつれた影は角を曲がって 行ってしまったね かなしくもないのに かなしいうたばかりしってしまったあなたの アルペ…

お月見

叙情に復讐するには叙情を持ってせよってことかしら 消耗戦のような

鳥は

この平穏は 恐怖が支えている 鳥の来ない朝の川を いつも見ている いつもの場所に電車がさしかかり ほんの少し胸が騒ぐ 毎日訪れるほんの少しの不安 ほんの少しの現実 投げやりな愛 鳥の羽音の幻聴 「4日前、死の位置が曖昧で 私はもう少しで向こう側に 転び…

吹くからに

九月が近くなると 老いて平たくなった夏空の奥に 風の通り道が現れて いつの間にか開け放たれた窓の 端から端まで雲が行くのが見える この緩い結び目を解いたら 凧のように流れるのだろうか はらりと地面に堕ちるだけなのだろうか こんなに暢気に 空を見上げ…