鳥追いと



水門を守りし人の手前にてつたなきものにわれは賭けをり



薄きこころとなりせば水なき川に行き左岸を自分の場所とさだめる



そむく時は喉を晒してそむくべきのがれし野に贄うずたかくなる



鳥追いとなりて分け入る夜の森は木々に満たされわれをへだてぬ



欠け継ぎし月のごときを土深く埋めたるのちはさめて危ふし



しみわたる冷たき髪を背におろし行けばいつしか母と遇ふらむ