ねむりのくさ




露草 ほたるぶくろ 

刈られる前にもらってきました。



自分だけが持っていかなければならない記憶にみんな耐えている とは
思うけれど
眠っているものに語りかけてくれる人がいれば
眠りは遠ざけるものではなく、とても深い安らぎになるかもしれない と
思いました。



緋母衣がびっしょり、その雪の腕(かいな)にからんで、一人は美にして艶であった。玉脇の妻は霊魂の行方が分ったのであろう。
さらば、といって、土手の下で、分れ際に、やや遠ざかって、見返った時――その紫の深張を帯のあたりで横にして、少し打傾むいて、黒髪の頭おもげに見送っていた姿を忘れぬ。どんなに潮に乱れたろう。渚の砂は、崩しても、積る、くぼめば、たまる、音もせぬ。ただ美しい骨が出る。貝の色は、日の紅、渚の雪、浪の緑。    泉鏡花 「春昼後刻」


青空文庫にあったので、読み返そうと思いましたが、横書きだととても読みにくい。
ことばが落ちていかない気がします。ルビのせいかしら?

泉鏡花 春昼

泉鏡花 春昼後刻