Going to see the river man


月の見える稜線をたどれば
最短距離で狂気に行きついて
分散する波の音になれば
果てしない消耗に行きつくような場所があって



その人は川沿いの高い葦の中を歩いている
夜から暁までの色を持っていて
それなのにその音階で
遠い夕方の空を奏でたりする



その人の音のはじまりは
その前に ひとつの
終わった音楽があったような気がして
いつもはじまりを見失ってしまう



葦のあいだに見えなくなって
耳を澄ませているときは
いつの間にか 月も波も見えない 遠い夕方の中にいる