破線をたどる


弱い雨雲が追ってきていて
帰り道はいくつも川を見逃した
戻ってきたのは一瞬違う街のような気がしたけれど
すぐにここはそういう場所だと思いなおした



動物病院の植え込みのサツキだけがいつもずっと花をつけています
まとわりつく犬も 「話したいことがいっぱいある」と言っていた娘も
すぐに眠ってしまい
「女の人の笑い声みたいだ」 といわれていた夜鳴く鳥は
どこかに帰ってしまっていました



それからは雑然とした街のよそよそしさ
違和からの風に 今週はやっと背中を押されている




Paul Bley - Ida Lupino From the 1973 album "Open, to Love"
時鳥の代わりに。 都会の夜のいびつな影。




あの街のあの場所の(わたしの)水への親和性はなんだろう?
なにか凶事でもないかぎり戻れないような気がした
凶事でもなければ?と思いかけて
ひとつの方位から逃れ果てていた自分を見つけたりする



多くの断ち切られた終わり がある一方で
ずっと終わりを生き続けているというようなこと



生き物と暮らすと「わたしも生き物なので許してね」という感じになります いつも
人だとそれは言えない 言えるようになるかしら? いつか



水の街で六日間、一緒に過ごした義理の母はこちらで会っているときとは少し別人で
自分も病を得たことに安堵しているようにみえました