2012-01-01から1年間の記事一覧

つきひ

ふるあめにこまかくあわくつつまれてうかぶわたしのいなかったまち

かなたまで

六月の距離のすべてに溶けている

夜の場所から

痛いことには耐えられる気がするけれど 許されることには耐えられないかもしれない そこなうことは耐えられない 狡いから かなしい ということは どこか 自分も世界も許しているようなところがあります ときおり長針と短針がかさなるように さみしい が さみ…

水無月

紙の

an airplane それは かたちから飛び立って とおくはなれたものが そこからもとのかたちへと戻っていく 旅の途中に出会う風のようなものでした その風を頬に受ければ 戻ってもそれはもう違うかたち (世界の果てのほとりは近く声だけが聴こえた遠い夜のことな…

五月闇

そんなふうに笑った そのあと夜が降りてもう轡にも雨ふる季節 春に花を見すぎてしまったから雨の夜の底が深いのかもしれない。

水のある場所

ひととき

ことばひとつ浮かぶ夜を裂き稲妻は掌に乗る白い光となって 色の抜けた暁にむけまだ見えぬ青がひととき風をつかわす 世界の基調の色は見えなくて はんぶんは知らない理由で零れるなにか

半径

都市を迷う月の軌道を暗記する 光よりすこしずれている道 夜の敷布を踏んでいたのが4時半で夜は裏返せないまま明るむ 透明になっていく窓いるだけでもうなにひとついらないのです 仮名のようにおされた鳥の足跡が海に向かって途切れる砂地 夢の中の翳が抜け…

空が

毀れると虹が出るといった人がいるけれど 「虹は空の傷口からの流血なのですね。」 Twitter. It's what's happening. : mさん

雲とねじ花

連綿とつらなるものを浮かべなさい。(但し、さみしさと羊を除く、) 立ち去らずふえていくのは薄い翳と しなくてももう許されること 雲間には青く涙のぬけ落ちたねじ 「このままで通れるでしょうか。」 罪がひとりのもちものなら 夜。 眠らないカナリアのよ…

川からもどる

( )はかなしい。今夜は景色を消去して括弧の中で朝まで眠る

水の街

見上げるたびに自分の街をそれていく 雨の通路の線上にいて 鳩の瞼は 本当はくらい青空と覚えられない雲のかたちを 人形の片手を見ている 夜が雨に雨が夜にもう溶けてしまって 人も街も今は地下から枝を経て空へと水をめぐらす装置 草の香の轍を踏んで空をく…

暗闇にゆらめく不思議を消す夢を巻き戻すたび色はかなしい 誕生日にロウソクを立ててお祝いする理由も 願い事をした後で吹き消すわけも なんとなくわかったような気がしました。 (気のせいかも知れませんが) ひんやりとした炎の記憶につまづいて雪降る夜の…

春の影

華やぎをおろしつつ行くその影を踏むときどこか私が痛む 風吹く道に春の卵を置きに行くさみしいものの発芽の前に −(マイナス)の水面に遠く投げられた浮きのようです0(零)という月 一本の木があり揺れているというかつて扉のあった場所には −−−−−−−−−−−−…

菜種梅雨

歯車を夜に浸してとおく近く振り子のような雨足を聴く 落ちた花も土鳩も雨に洗われて許されたときの生の危うさ 擦り切れた問いと答の眠るとき呼吸する春を知るものすべて 春の手紙を届けた家の表札を裏返しつつ行く配達夫 夢で池の周りを一巡二巡しました。…

櫻2

さいごまで白い過剰をつみあげて落差の風を待つものが立つ 満ちてしまえばどこにも行けないものが、戸外で静かな夜を支えています。

知らない人達と同じように上を見上げながら川沿いの道を通って、同じように道を はぐれて帰ってきました。 冷めたばかりの骨の欠片のようだと思っていた花は、よく見れば女の子を飾る貝細 工のようにも、小さな人の薄くて柔らかい爪のようにも見えました。

四月の魚(Poisson d'avril)

物云わぬ紙の魚を泳がせる背 ふざけているわけではなくて 青草の石に靡けば葬の字のみえかくれする春の背表紙 この本に栞はいらないたぶんもうどこから入っても潮騒 光と色と風うつくしき線上をゆめが走れば凶という空

白木蓮など

不は花のつぼみのかたちあるくとき出会えば不不不と挨拶をする 春が色をこぼして過ぎれば青草に眠らす石を置きにいきます ひとつでも加算されれば春になる木々より出でてあふれ出す風 海の近くで海のことを話そうとする夢は 失くしてしまった春の宵の記憶を…

鎖そうとするほど春を証する 掌に落つ前は雪だったもの

その限りにおいて

曲がり角をどこかで間違えて 「ここから先 すべて広場」の標識を過ぎ 街の余白に出たので 休息をしました ここを出たら もう次の 知らない街角が見えている 余白のはなしをしましょう 意味から零れおちる とても無力なものだけで はなしを 知らない湖沼地帯…

土に還る水

飲めばすこし忘れる薬になりたくてそのときはもうまちがえていた あのときまちがわなければ 水辺に沿って北へ曲がっていた道を 知らずに東へ歩き続けて かなしみに触れる場所まで たどり着けなかったと思うのです

小寒

うすみどりなにに触れても一点のかなしみを指す秤をもって 鳥が翼に運ばれていく そのまえの鳥をかかえる腕の静けさ

雑記2

いっせいに絶滅していく花をかかえて 逆行していく道というのは ひとつひとつの意味をたずねては失っていく 旅のような気がします それにしても行く先々の行き止まりに 馬鹿で頑固で人を寄せ付けない目をした娘が 膝をかかえているようなのはどうしたものか…

雑記

青丹よしに場違いな語を追加して持ち歩けるかいとさり気なく 色つきのたとえばスミレのようなものを求めてしまう目の弱さなど あれほど日常に偏在していたものが 跡形もなくおもえるのは 真昼の月のように 空に溶けてしまったのかしら? それともよりいっそ…