半径



都市を迷う月の軌道を暗記する 光よりすこしずれている道



夜の敷布を踏んでいたのが4時半で夜は裏返せないまま明るむ



透明になっていく窓いるだけでもうなにひとついらないのです



仮名のようにおされた鳥の足跡が海に向かって途切れる砂地



夢の中の翳が抜け出し遠雷を白紙の端でくりかえす空



夕立に泡立つ街には知らぬ間にいつか流した笹舟もいる