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ことばも音も突堤のようなもの
端まで歩く
その先を覗き込む
それだけのために




光に集まる虫たちは
明るさを目指すのではなく
光源と背景の境界を目指している
という説を読んだ










1冊目
レンブラントのような群像画 あるいは俯瞰した海に沿う都市の光と翳の絵画
壁の 石畳の隘路の 匂い立つような
重い花の香りのような恋が
出来事が海のむこうに林立する
トーテムのように
蜃気楼のように



2冊目
絵画に厚いビニールの覆いがかけられその上に注釈が貼り付けられる
何枚かの写真と共に



3冊目
絵画のかけられている背後の壁にに数十年に渡る新聞、日誌のコラージュが施される



4冊目
絵画の部屋で談笑していた者が一人一人部屋を出て行く
外はエル・スコープの祭
部屋と都市は意味によって
一定の調和をみる
すべての人の去った後に、絵が
風化して行く街の一室に
残される





一つ一つの忘れ難いエピソードは
謎として持ち越される余白を含んで
深く沁み渡る
が、結局作者はそれを芸術の下に紐つける
のがれているのは誰?
3冊目の語りの時制は?

(ダレル 『アレキサンドリア四重奏』)








ひとりのなかの広大無辺を
統合する文法 としての声







郊外で育ったから
鄙びた空き地ならいくらでも
開いて見せることができる
ただ
なにひとつうまく言えないのよ







北の県に行って
以前、仕事をした人達(対立ばかりでしたが)
と会いました
皆、桜守 というか桜博士のようになっていて
どこそこの桜がいいとか
花の話ばかりしてきました