詰草


しろつめくさ という呼び名がすきです。



                               硝子 鳥山高史






ことばを残す というからには
書いたそばから私はことばから去るのだろう
そしてことばは待ちはじめる
ここにいなかった私を含むだれかの
記憶のいちばん外側を通過することを



私ではなくことばが待つのであって
ゆだねる分だけ信じている
沈黙する ということは
沈黙とおなじくらいの質量のことばを
持てなかった ということ



自分について書くほど自分から遠いことはないと
もうわかっているし
書かれたことばが私を語ってしまう というのも
もう気にしない



私の周りの希望が足りない と言う人の半分は 本当は絶望が足りていなくて
でも若さの殆どはそれでできていると思います。