湖が出現する


写真について、商業写真ではなく、親しい人や恋人によって撮られた肖像写真が喚起するもの
について書かれたことばを思い出しました。


Ludwig Wittgenstein - Wikipedia



背景の白い線や文字、上着に挿されたもの、 すべてがいっせいに「徴候」としての解読を迫ってくるかのようであるが、


しかし、もっとも情動を揺さぶられる謎が宿っているのは、恋人の姿をそのうえに映し出していたに違いない哲学者の瞳かもしれない。 どれほど精微な解読によっても、解消されることも、終わることもない謎。
過去のある瞬間における、まなざしの交換が記憶されることの不思議。 

                                   「イメージの自然史」田中純