「白痴」をはじめて読んだのですが、ああいう話だとは思っていなかったので暗澹としました。
(3日経ってもまだ引き摺っています。)
これだけのものを登場人物に与えて、これだけのものに気づかせないでいる 
作者というのは神様みたいで怖ろしい。 


予言 というのは必ず閉じられた中で膠着したものに外からなされるもの かしら?
隙間はあらゆるところにあるのでしょう。 今、わたしに見えないだけで。

パサージュはまなざしの囁きに満たされている。
そこでは事物は皆、もっとも予想しなかったときにその片方の眼を一瞬開けたかと思うと目配せをしながら閉じてしまい、
君が近づいて見ても、それは消え失せてしまっているのである。
こうしたまなざしの囁きに空間はその谺を貸し与える。
「いったい私のなかで何が起こったのだろう?」とそれは目配せする。
われわれは驚いて立ち尽くす。
「そうだ、いったいおまえのなかで何が起こったのだろう?」
われわれはこの空間に小声でそう問い返すことになる。
              ベンヤミン「パサージュ論」


昔、「正義の味方」っていたな とふと思い出しました。
今はみな、正義になってしまう。






芍薬。 母の引越しを手伝ったついでに切ってきました。