記念写真



6月に二十歳になった子に
振袖着てみたい? とたずねると
いちどくらいは というので
箪笥のなかから引っ張り出した着物を
悉皆屋さんに持って行って丈を直し
先日写真を撮りました。


19の時と22の時、2回しか着なかった振袖には
あまりいい思い出がなくて(成人式と新入社員の
正月挨拶回り)
不貞腐れた門外不出の写真が残っている私とは違って
娘はノリノリで 着物も報われたというものでしょう。






何を思ったのか、急遽息子も呼んで家族写真も撮りました。



記念写真って不思議ね
出来上がった写真は既に過去そのもので
遠い未来に届けられるまで
分かりやすい場所に
仕舞われる


過去によっていまは
つくられたけれど
いま次第でいくらでも
過去は書き換えられてきた
未来のいつかに今はどううつるだろう?
もう自由だね
あなた達の忘れてもいいことは
私もこれから忘れていくから
写真の裏は白
わたしたちのいない街の
こころもとない白い風









もしかしたら
人が自由になるときは
必ずなにかの中で自由になるのではないかしら?


ふとあらわれる空白
柔らかい未知に包まれたようなそのなかで
繰り返していた小さな気迷いを忘れたように
つい と道を折れていく
あなたも
あなたも



さみしくなったら
途中までおいで