時間が持ち去る物の覚え
ことばに触れないと
聴くことも減ります
夏はよくない季節でした
影が黒々として
それ以外のすべてが
光のうちに濁っている
大事だったものさえ
残像のようにしか見えなくなった街を
足を棒のようにして
1日、1日棒にふる
溶けているゴムの端
眠ることばかり増えて
事実を力だけで押さえ込んだあとは
自重に撓んで
痩せていくばかり
よくない季節でした と
やっと振り返ると
すぐそこに
熱くて幅のある影だけがある
放電する前の黒雲が
落ちて固まっている