記憶について



水滴のように今日をつたわり
私を通過して闇に落ちていったものが
知らない間に
重なっていて



ガラス棒で攪拌したあと
ふたたび 音もなく
ゆっくりと 沈殿していく 
あっこれは
昔、雪のようだと思った あれ 
と思ったけれど



底のほうはもう見えない
さよならも言っていないのに と思って
さよならを言いたかったのか?と思う
そんな間にも消えていく 
消えていくのは
ふたたび通過させてしまったから



雪のようだと思ったあれ
残るのはそれだけね