牡蠣殻が無造作に遺棄されて
水路の水が匂う
よく知っている未知の場所のようなそこを
私はここに移築したかった
そこに私が辿り着いたことが
ただ、私が辿り着いたことに過ぎない
そんなさみしい場所であったとしても
一つの音、一つの石、一つの痕跡を拾い上げれば
それがどこまでもひろがりを探していくような
見るものすべてが、音のように変換されて
疲労した意味から逃れて行くような
(どのひとの中でも鈴が鳴っている)
移ろいやすく 耳に呼び戻せない そこに行かなければ
海辺で出会った人がいる と
いつか言うことが出来るように