浅瀬
まん中だけが流れてあとは静かな川がありました その浅瀬を
こどもが一人歩いていました
その膝から下は冷たいのか
視線は岸辺にありましたが
もちろんこどもなどいませんでした
わたしたちは平坦なことばにも耐える必要がある
どうしてあたりまえなのかわからない倫理などは
自ら逸脱できる けれども
他者の感情には負けてしまう
交換とはちがうどこかですり替えが行われていて
真情を求める というのはそういうことかもしれないのです
(それでもあの子が細い脚で水飛沫を跳ね散らかして
夏への道を開いたときは
その方角にきっとついていく)