夜光


運河の横たわる工業地帯の真ん中で
外からは鍵
外は星が降っているらしい
星には結び目があるらしい
嘘つきなのに嘘が足りなかったので
足元には落ちてこない星



見わたせる景色は
すべて持っていってもいいけれど
絶望を つないだ手ごと
突然持っていくなどということは
許されることではないのよ



落ちてこない星 鳴らない弦 
なくしたことばに見送られて
最後まで愚かだと言われたがっていた
その人は帰る
知っていた?ここは夜光という地名らしい
夜の結び目だけがほどけて不意に
落ちる場所