形象ること
カイは、形でひとつのことばをかきあらわそうとおもって、のこらずの氷の板をならべて
みましたが、自分があらわしたいとおもうことば、すなわち、「永遠(えいえん)」と
いうことばを、どうしてもつくりだすことはできませんでした。
Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 雪の女王
カイを愛していた女性は二人いて、ゲルダは信仰と真心を持った戦う女の子でした。
もう一人、カイを攫って氷の板で自分のあらわしたいことばを作ることができたら
解放してあげる と言ったまま氷の宮殿に放置して、最後まで姿を現さずにおわっ
た雪の女王というのは、一体なんの象徴なのだろう?
子どもの頃に読んだときは、さかさまにうつる鏡を作った悪魔が天上に持っていこう
として落として割ってしまってカケラが散乱するという1章目がほんとうに好きで、
二人の女の手をかりて氷の宮殿にたどりつくところまではそれこそ何十回も読み返し
ましたが、その先はほとんど忘れていました。
読み返してみてとても良かったです。作者を知ってしまうとせつないですが。
氷片の溶けるせつなにとこしへは形となりぬ あるじの留守に