2011-05-11 卯の花腐し 吊りあげられた白い場所から 旅に出したわずかな風が 速い南の風となって 戻ってくる 雨を連れて(落ちなさい) そのひとことで はじめて自分が落下するものであることに気付いた雨が 散り方をやっと思い出した花を 地表に張り付かせて 過ぎるはずだったあわいの月が 黒いインクを滲ませながら 慌しく折りたたまれていく 自らの季節を思い出したかのように それを写し取って(濡れなさい 指を汚して) 雨が降ってきたら 風は再び 箱の中にしまいましょう 箱の中には疲労とともに あなたも入っていますね