母にはならない2

                                       


躓くのに都合のいい石のような
夜が過ぎて
雨の中、出かける娘を見送って思うのは


あなたをここに送り出しておいて
自分はこんな場所には一秒たりともいられないなどと
たまにふざけたことを考える私を
あなたは見抜いていて
母にはならないなどと
言うのかしら? とか


どうしてこどもというものはこうも親を許してしまうのか? とか


愚かさゆえに何もかもが許されてしまう
外は灰色のよろけ縞のような景色であり
雨の匂いのしない
雨よりつめたいなにかに
あなただって髪の先まで濡れる日がくるというのに