八月の水


変な夢で脱力したせいか
午前中は低調でした
遅い昼食に外にでると
街道は平べったく白い光をはね返し
車が通るたびに
じり…と熱せられた風が耳の外側を巻き上がっていきます
ふと暖かい水が胸元に落ちて来ました
上を見ると抜けるような晴天です
水を含んで重かった夏は
乾いた夏になって
老いた夏になる
染みはひろがる間もなく乾いていきます
なかったことみたいに




夢のことですが
私はもっと違うことに
熱弁をふるうべきだったと
思う





    虚空に浮かぶ氷晶ひとつ許されて落ちながらぬるき水となるかなしさ