7月



クチナシってどうしてこんなに汚くなってしまうのでしょう?





夢を見た
梅雨の晴れ間の空を見上げると
クチナシのような純白の花びらが一面に舞っている
青い空に映えてとても美しい
宗教画か何かの背景のように見える



だんだん高度を下げてきたそれらは
小さなエイのようだった
体を波打たせてワルツでも踊るように
すいすいと空中を泳いでいる
私は緑あふれる公園の脇の
大通りに立っている
道行く人もみんな足を止めて
見上げていて



小さな真っ白いエイはますます低空飛行してきたが
公園の木に触れたものから
折り重なるように静かに着地しはじめた
どうも地上のものに触れると
動けなくなって死んでしまうらしい
さっき私の頬をかすめたエイも
すぐそこに落ちている
道路は白で埋め尽くされはじめ
動くこともできない
あんなに楽しそうに優美に泳いでいたのに
残念で仕方がない



「あれは天使なんじゃないの?」
誰かが囁くのが聞こえる 責められているようだ
「天使だったんじゃないの?」