ことばは
私に属さない
地上に
うかぶ乗り物なので
できれば身近に行き交う
それに
思いのいくらかを
乗せられるように
そのうごきをどうかそこなわず
思いのほかへ
ころがっていけるように



手放す
手放すために引く
細い線が
めまぐるしく上下する
冬の硬い校庭で
わたし という容器のなかの
重たい水を
どれくらい遠目に
眺めればいいのか
許しているのは いつも
誰かの目であり
うながされる優しさであったということを




つゆ知らず
光る 知らなさは呼び水となって
ふとまかせれば
弧は接線をはなれ
水のなかを風がふきはじめている
いつ輪の中に入ったかも知らず
ところにより雨 の
空の下
ふりむくと
今までいたところが
翳ったように見えるのです