夢に書かれた地名

 



不眠の続いたあとに、突然ことんと眠ってしまって
乗り物に乗る夢を見ました。
角筈 という地名がありました。



今は残っていない地名
角筈を通る都電はたぶん見たことがある。
乗ったこともあるかもしれない。
都電新宿線 路線図 - 鉄道歴史地図



ほどけていく記憶
家々の門口の八つ手の葉を
舗装されていない道で拾うとはじまる 神様ごっこ
色ガラスの欠片や外国の小銭を机や戸棚に隠す 泥棒ごっこ
無骨な蝙蝠傘を体に括り付けて、ひとつずつ呪文をこしらえながら
競争で一段ずつ家の階段をのぼる あれは魔女ごっこ
手の中のじゅず珠 破れた絵本の色 まだ蛇行していた野川 れんげ草 

角筈となんの関係が?)




気のせいかもしれませんが
家を片付けてから、夢が大人しくなりました。
それまでは、決して見ないための規制線のようなものが
夢にいくつも張り巡らさせていて
ただ夢の中を歩いているだけで
ぎりぎりの攻防を強いられているような
(そして必ず反転しそうになる)緊張が
目覚めてもしばらく残っているようだったのですが



気がつくと
反転しない夢が目覚めるまでそこにあって
ただ、なにかを思い出すことをうながします。
そしてそれは
現実からとても遠い場所についてしまった傷みたいに
もう私を悩ませたりしない
そんな夢をみることが増えた気がします。




地名というのは土地に書き付けられた
とても短い記憶でしょうか。
土地の見ていた夢とシンクロしたのでしょうか。