身につけるもの



満員電車で装身具を落とす選手権があったらいい線いくかもしれない と
思います。
小田急のラッシュは酷いし、私が持っているものは祖母や伯母から譲られた
ものが多くて金属が緩んでいたりするから。


けれどどこかで これはきっと
愛着の問題かもしれないとも思う。
光るものを落としてほっとするようなところが
私には確かにあるから。


愛着のあるものもあります。所謂価値と関係なく、必要なものも。
南の国でふと求めたもの
指に嵌めて人と会った石


冬を歩くためのもの いくつか


真円でない真珠 これか、銀の滴形を仕事ではしています。


ターコイズ 黒のハイネックばかり着ているので




本当はもっとはるかに美しいものを知っています。
大潮の頃の、黒い海に零れ落ちる白い光や
嵐の前後、南風につぎつぎ流れる黒から透かし見る
青のグラデーション


装う というよりは
暗い服ばかり身につける
貧しい後姿の季節に
これらを忘れてしまわずに
しばらく歩くためのもの


いつか必要でなくなる時が来る。
そのときは、それでいい。
呪術的? でも
母も祖母も 形は違っても
そうだったのではないかと 思っています。