読むということ


□□□ の代わりに
読むことをしたので ここは
突然山になった



こなたには石の山
かなたには荒磯の海



原っぱで育ち、窪地に住んでいた
海も山もおなじくらい遠い場所で
引かれた水を飲み 洗い
汚水にして流していて



一番最初に老いたのは指だった
わたしの狭い地図の端のほうに
大きな石の転がる山がある
そのことだけ わかっていました



それでも

山代にいけ鳥山い及けい及け  
と行くうちに(行ったのか?)
ここが突然山になって
この道は 
私の心拍数と異なることばで満員です



うけひしその鷺*1地に堕ちて死にき
その鷺やいづこの鷺?
ここ降りて ずっとゆっくり忘れていく(どこへ?)
山の小石が空になるまで




窪地から
なだらかな坂ばかりの
やその辻で いつか 
ひとつの石に出会うでしょうか
それはここまでおりてきた石
ふりかえれば
ほんのすこしだけ異なっている地図に
やっと打つ 最初の点 




                                 

*1:うけひ(誓約)の的となったその鷺は(そのことば通りに) (記 垂仁)