三島由紀夫の小説にはとても賢い女性が出てきます。
それは絶対にこうはなりたくない というか、このような認識を持って
女だったら生きていけないだろう と(私なら)思うような存在で、
例えば豊饒の海の本多の旧友みたいな女性。
もう一種類、別の女性もいて、それは同じ小説の最後に本多に引導を渡す
役割をします(松枝の恋人で、そんな人はもともといなかったのではないか
と言う女性ね。)仮面の告白にも似たような人がいる。認識しない、見るべきで
ないものを見ない女性。


前者は小説のなかに作られた三島の分身ですが、後者もやはり作り上げられた 
女性であり、ひと という他者なのだろう という気がします。
そして二種類しかいないような気がする。
さみしいね。



だれかの代わりがつとまるような人間ではないことはよく判っているので
それを言わせないのも優しさだと思います。もう言ったけれど。



                                  

(前者は久松慶子、後者は綾倉聡子 でした。名前がないと何を言っているか
わけがわかりませんね。)