不思議な気がします。
紛れて消えてしまわないために文字にして残す、そのためにあったものも
いつかどこかに紛れていくのは。



読めない活字の入った箱は、高いところに仕舞っておきたい。



点が打たれたとき、どこかにもうひとつ点が現れるのを待って、
そこからそこへと架ける文字を探そうとする。
活字箱は、使われすぎて磨耗し、黒い塊しか打てない活字ばかりです。
意味ばかりが紙を汚し、その意味に鈍くなっていくので
きっと簡単なものほど見つけられない。