暁の


あかつきの空の底は
途中まで歩けます
おもい瞼をおいて
足だけが先にでかけてしまって
行きついた突堤にうずくまって
下からの声のない泣き声の反響に
耳をすましている



雲がめばえはじめるまでに追いつけば
においのない花々
ゆるされてばかりいたことを
なんども思い出しながら
触れる夜のすべてが
透明に薄れていって
急速に地面へと近づくのを
ただ待っている



はなれた場所から
風をつかわせはじめていた朝に
目を上げれば私ごと
置き換わってしまいそうなときは
散逸しそうな頁を一枚
指で押さえている