つぶやき的 5

  • 昔 春には銀の 秋には金の紗が ほんの僅かにかかっていませんでしたか?
  • 秋にだけ 階段がある  塞がれたまひるの井戸の中にだけ星月があって 夜が聴こえる
  • 言葉が音楽を捨て去ってしまった とは思えないけれど もしそうなのだとしたら 人(私)の方がそれを感受することにおいて まだ聴く というかつての習慣を捨てきれないでいるのではないかという気が
  • そして短歌はリズムがあるからこそ それに沿うことで 破調で、あるいは意味その他もろもろで それ(リズム)を読む人に知覚させない方向にむかっていて
  • 私はいちばんはじめに小野十三郎を見てしまったので 「奴隷の韻律」 というのが震え上がるようなかんじで どこかに刷り込まれてしまっています  古典を専攻したので ちょっと違う感じも持つようになったけれど 今でも短歌は どこかで疑いを放棄せざるを得ないようになっているような気がして それに甘えたり勝手につらくなってみたり
  • とても困ったことがいくつかあって大きな野分が過ぎて 日の終わりの駅は虫の声が降りそそいでいた 虫籠のなかのような ここは遠い草原
  • ことば自体に出会う などと書いたけれど 感受して表出する間に何が起きているかというのは それはやはりこころと一本の糸で震えながら繋がっていると思いたいし 秋は これほどまでにもう秋にいる という思いと一緒に やってくるね と この階段の途中でとても言いたい