翳の色


生まれれば封じるものひとつひとつ繭玉のごと足元に落つ



質量なき冥さは上弦の月を呑み今は下弦の月が吊られる



かなしみの発芽せぬ枝ことごとく手折りて雨に打たせたる場所





かつて聴いていた曲を聴いて「記憶の中にあるものはすべてここにはない」  
と思ってしまうというのは
ここにはないものが記憶の中にはある  と思いたいからでしょうか?
たぶん音楽というのは音とは全く異なるなにか