ふりそそぐ風が緑をうらがえしながらいく



本は読み終わりました。やはり2部までが比類なく
今はもうない記憶の中の街が一番音楽に近い。



3部は今と地続きでした。
うまくすり抜けてきた。
通り過ぎたものに語らせ紐付けした世界を携えて。
ひょんなことから追われ、追われるように自ら仕向け
逃げるために怖れを道連れにしようとした。
それが自分という物語の初めから
語るに値しないような見えない位置に常に在り続けたことを知り
逃げない今もいる。それしかいない。








ところでみんなで一斉に玉葱を刻んで自分を解放するなんて
(玉ねぎ地下酒場)レイブだなとちょっと思いました。
客が一斉に小さなすり鉢で胡麻を擂っているとんかつ屋さんってある
けれど。



「黒い料理女」のような掛け合いの少し怖いこども遊びって、日本では
「あぶくたった」ぐらいでしょうか。手を繋いで丸くなって歌い
むしゃむしゃむしゃ とみんなで食べた後、
「とんとんとん なんの音?」の掛け合いのはじまるまでの眠りの「間」は
報復のはじまる前のつかの間の平和のようでした。



黒い料理女はいるかい?  いるいるいる!
                       『ブリキの太鼓ギュンター・グラス