夕占問ふ


昼と夜との間にいつの間にか差し挟まれた曖昧な時間が
気がつけば随分長くなっていました。
風景も 道行く人も蔭へと向かいながら少しだけ暮れ残っています
春でした 何故過去形だろう? 




万葉集に、門や道に立って耳に入ってきた道行く人のことばで占う
夕占(ゆうけ)というものがあります
夕占は問う ものなので
それらのことばは音として消え行く途上にありながら
すべて問われる可能性がある ということになります
(黄楊(告げ)の櫛を使ったりするのはもっと後のこと)




暮れ残る時間のことばでした 何故過去形だろう?
僅かに残っている光を耳にする
別のことを言っているとしても 逸れてはいない
花の前の日の夕のことです