2013-12-28 けむりたなびく その子は古い校舎の廊下を歩く 遅れてくる足音を持った上靴を履いて 窓枠の外は冬川 渡れる石の連れて来る岸辺をさがす あるいは 自分の中心に渡る小石をさがす あと数歩 熱っぽい頭を振って 掠れた線をたどるようにして 遅れて閉まるドアが背後で断ちきる音が 丁度足音と釣り合ったとき 足の二本は枯草の上 鳥の羽ばたきも犬の吠え声も とおくとおく聴こえない 光まじりの北風が耳朶を叩き スカートがはためいて 巻き上がるような苦しさと喜びのなか 思い出されようとするすべての前で その子は自分の身を抱いている