とわ などについて



それは厚い埃の下にあるのかも知れないし
絡まった根のすき間にあるかも知れない



たったひとつの名を思い出そうとして
読む人のことを読者といいます
すべての人がおそらくそうで
読むものが本とは限らない



木から離れた葉がひるがえりながら
地上に落ちる間に
一瞬うすい光を映した 
それを私が見て それを木の葉から見れば



そのようにしてしか、ない
でもそこにしか ない と
いつからか だれもが 知っていることを
私もすこしだけ知ろうとして



名を思い出した人たちが
その名のあらわす場所へと歩んで
また次の名を思い出そうとしている
世界のここは六月の雨のゆうがたです