2012-11-10 11月 水のちかくを あるきながら ポケットに手を入れたら なにからも遠い時計が 入っていることに気づきました 11月の空にはすこし藁の色 多摩川の水はまるく それをとじこめていました そのみずのいろを 少しガラスにうつしとって 文字盤の下に 秘密をひとつ 落としこむと 秒針がかすかに刻みはじめました いま に触れるときだけ 生死からも遠い たいせつなので ポケットの中 指だけで 何度もそっとたしかめています すぐうしろにいても わからないほど遠い