2011-02-12 雪が降る 逆立つようにちりちりと 電気を帯びた季節が 終わりに近づいて すでに大方の空を冒していた春が 雪に名を変えて 地上に降りてくる 不思議ね 音無きゆえに激しきものを 窓からずっとながめていると かたちもないほど忘れているものを さらに忘れるように強いられているような その強いられた痛みが 地上に春を繋留するような ここを過ぎて なにごともなかったかのように春になることだけを 今の私は待ち望んでいる そののちのひかりあふれる残酷な暗渠なら 私はいくらでも越えていける